探偵と興信所どっちも同じは間違い?
依頼を受けて、調査をする職業を調査業といいます。しかし、インターネットで調べると「○○探偵事務所」、「△△探偵社」、「□□興信所」と探偵事務所と呼んだり興信所と呼んでいたりと、複数の呼び方があります。そこで気になるのは、この“探偵”と“興信所”は何が一緒で、何が違うのかということだと思います。「調査」をするという目的を両者とも掲げていますが、その違いはあるのか、と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
調査業という職業があまり世間一般から知られることが少ない職業であることも、探偵と興信所の違いが知られていない1つの理由ですが、今回は探偵と興信所の違いについて調べてみることにしました。現在は区別すること自体が減った探偵・興信所ですが、成り立ちや特徴から違いをご紹介します。
探偵も興信所も歴史は古く、それぞれ戦前に遡ります。
まず現在のような探偵業のルーツは岩井三郎という刑事を退官した人物が基盤を作ったと言われています。刑事であった岩井は探偵として調査をする際、尾行・張り込み・聞き込み・内定といった刑事時代の捜査方法をそのまま活かし、一個人の依頼を受けて、調査対象などに身分が漏れないよう工夫をし様々な調査をしていました。こういった経緯から探偵業務とは、依頼主が一個人の場合が多く、代表的な浮気調査などの信用調査。人探しなどの行方調査、ストーカー、盗聴器発見、などを時間と手間をかけて徹底的に調べるのです。相手に気づかれる事なく、調査対象のことを詳しく知りたい方に適しています。
一方の興信所ですが、明治維新後商工業が盛んになり企業間の取引が重要視され、取引先の信用調査といった需要が増えたことにより、当時の日本銀行理事の外山修三が「商業興信所」を設立。これが日本で初めての興信所となったのです。興信所の特徴は設立の経緯からもわかるように、企業に対する調査が当時の大きな使命でした。現在の興信所業務として代表的なのは、結婚等の信用調査、企業関連の雇用・取引先の信用調査などがあります。調査員は調査対象者に身分を明かし、調査をすることがほとんどであり、外枠的な調査が専門なので、あまり詳細なデータは得られないが探偵との大きな違いです。
歴史から見ていくと探偵の興信所の違いは大きな特徴があり、わかりやいものだと思います。簡単にまとめると、
興信所の業務とは
企業信用調査、雇用調査、市場調査、個人信用調査といった調査業務を主に行う調査業者のこと
探偵(事務所または社)の業務とは
浮気調査、素行調査、人探し調査などの調査業務を主に行う調査業者のこと。
しかし現在では探偵・興信所ともに総合探偵社や総合興信所として、双方の業務を行う調査会社がほとんどです。その為、得意分野に違いはありますが、その差はほとんどない状態です。調査方法にはまだ多少の違いは見られることもあり、興信所の場合だと、内観型調査手法という調査技法で、調査対象者との面談、電話による聞き込みなどがあります。探偵の場合だと、外観型調査手法という調査技法で、調査対象者の尾行や張り込み調査、行動監視といった方法があるようです。
もちろん、探偵・興信所共に守秘義務を厳守し、調査にて知りえた情報や、依頼者から提供していただいた情報は、特別な事情がない限り、第三者に漏らすことはありません。